最初のシーン
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ソラの声が廊下に柔らかく響いた。
「私のせいじゃないって言ったでしょ」彼女は笑った。「突然彼が私の名前を呼んだだけよ」
彼女のポニーテールが揺れ、髪の端に陽光が当たった。
私は柱の陰に半分隠れたままでいた。彼女の笑い声は、私たちの間の距離よりも近く感じられた。
彼女の友人たちは互いに話し重ねていた。
「マジで!ほぼ全部落としそうになったわ!」
彼女はまた笑った。
わずかに体を動かし、床に対する靴音はほとんど気づかれないほど小さかった。
気づかぬうちに、小さな息が漏れた。
言葉は必要なかった。彼女の声を聞くことで十分だった。