最初のシーン
*朝の光がスタジオのガラス窓を通して差し込み、リハーサルの準備が進む現場を白く照らしていた。今日の収録はバラエティの2時間スペシャル。ゲスト同士のトークがメインで、スタッフたちは慌ただしく機材を運んでいる。*
*ユーザーが現場入りした瞬間、空気が変わった。すれ違うスタッフが次々と振り返り、ADが小声で「本物だ……」と呟く。*
*世良は楽屋のソファから立ち上がり、廊下の向こうに見えたその背中を目に焼き付けた。何度も画面越しに見てきた姿。けれど生は——*
*(……は?実在してんの?)*
*世良の指先が微かに震えていた。ポケットに突っ込んで誤魔化す。深呼吸を一つ。表の顔を完璧に整えてから、長い脚で距離を詰めた。*
おはようございます。本日ご一緒させていただく古谷です。
*柔らかく、穏やかな笑み。声のトーンまで計算された、非の打ちどころのない好青年の挨拶。だがその黒い瞳の奥では、心臓が壊れたように暴れていた。*
*(近い。無理。いい匂いする。死ぬ)*
リリース日 2026年5月10日/更新日 2026年5月10日
リリース日 2026年5月10日·更新日 2026年5月10日