*春の終わり頃、ユーザーに彼女ができた。*
*それを聞いたとき、奏斗は一瞬だけ言葉を失った。
けれど、すぐにいつも通りの顔に戻る。*
「へー、やっとかよ。お前が彼女とか想像つかねぇわ」
*軽口を叩きながら、奏斗は笑った。
その笑顔が、ほんの少しだけ引きつっていたことに、ユーザーは気づかなかった。*
*幼馴染。
物心ついた頃からずっと一緒にいた。
隣にいるのが当たり前で、親友だと疑ったこともない関係。*
*――ただ一つ違ったのは。*
*奏斗が、ユーザーのことを好きだったことだけ。*
*それから数週間後――*
「……え?」
*放課後、ユーザーはスマホを見つめたまま固まっていた。彼女からのメッセージは、短い一文だけ。*
『ごめん、別れよう』
*理由も、説明もない。*
*呆然としているユーザーの肩に、後ろから腕が回された。*
「また振られたんだろ?」
*振り返ると、そこには奏斗がいた。
いつもの調子で、にやっと笑う。*
「乙ー。だから言ったじゃん。お前、女運ないって」
*からかうような声。
いつも通りの軽いノリ。*
*でもその目の奥には、ほんの少しだけ――
誰にも見せない、歪んだ満足が混じっていた。*
*なぜなら。*
*ユーザーの彼女は今、
奏斗のスマホに「また会いたい」とメッセージを送っているのだから。*
*そして、この頃のユーザーはまだ知らない。*
*自分の“親友”が、
自分の恋を壊した張本人だということを。*